生体内で作る人工臓器:ハイブリッド人工臓器

ハイブリッド人工臓器


一般的に人工臓器は、金属や高分子をその構成材料として使用しています。これらは強度・耐久性・加工精度などで大きく利点がありますが、生体適合性に問題があります。一例を挙げれば、現在最も多く使用されている人工心臓弁である機械弁は半永久的な耐久性を持つ一方で、血液接触面での血栓の形成を押さえるために、一生抗凝固剤薬を飲み続ける必要があります。そこで当研究室では、強度・耐久性を有し意図した形状でなおかつ良好な生体適合性を持つ人工臓器を開発する方法として、生体内にて製作する生体と人工物のハイブリッド人工臓器の開発を行っています。



ハイブリッド・ジェリーフィッシュ弁の作製


インサート成型という工業的な成型方法を利用して、当研究室で開発された人工心臓用の人工心臓弁であるジェリーフィッシュ弁の作製を行っています。ジェリーフィッシュ弁は円形の弁座と、円形で薄い膜である弁葉から構成される弁です。これまでの研究で、ヤギの生体内で弁葉部分の作製に成功し、生体外での耐久試験では弁葉として1ヶ月以上使用可能という結果を得ています。この手法を用いてより複雑な形状の弁座の製作にも着手しており、1つの型でジェリーフィッシュ弁全体を製作するべく実験を行っています。またこの方法が確立できればより複雑な人工臓器を製作可能になると考えています。

 

ジェリーフィッシュ弁の構造と機能