新しい血液ポンプ

HFP(Helical Flow Pump) ヘリカルフローポンプ 螺旋流ポンプ

TCP(Toroidal Convolution Pump) トルコンポンプ(torcon pump)

  1. ヘリカルフローポンプは入り口と出口をポンプの側面に設置し、螺旋状の流路をインペラ(回転する羽根)の前後に設けた構造のポンプです。この構造であれば、完全人工心臓に適した血液ポンプを実現できます。ロータ(永久磁石)が埋め込まれたインペラは中心に設置されたステータ(電磁石)により駆動されます。インペラは、血液自体を潤滑液として用いた動圧軸受により非接触に支持されています、磨耗する部分がないために半永久的な寿命が期待できます。

  1. トルコンポンプは羽根車をケーシング内で回転させることで作用させる回転型ポンプであり、そのポンプ原理はカスケードポンプと同じである。そのため、遠心ポンプなどと比較して小さい駆動力で高い揚程が得られる。

  2. トルコンポンプは流体として血液を対象としており、血液適合性を得るためにカスケードポンプにはない工夫が凝らされている。ひとつはドーナツ状のリングの存在である。カスケードポンプは羽根車が回転することで渦流が発生するが、渦の中心部分でのシェアストレスは高くなる。そこで渦の中心部分に血液が入り込まないようにドーナツ状のリングを配置し、渦流がリングの周りを回る(赤い矢印)ようにすることで溶血性能の向上を図っている。また羽根車の支持軸付近に貫通穴を設けることで血液により軸受けの冷却を行い、溶血性能の向上を図っている。

  3. トルコンポンプは加重のバランスをとり難いため回転軸受けに接触型の軸受けを使用している。そのため、高い揚程が得られる特徴を生かして、緊急生命維持装置用のポンプとして短期間(数日)での使用を前提とした開発を行っている。